[ 癒しの神社 ] 古代の異邦人の英雄,温羅の胴体が眠る神社(水巻神社:岡山県総社市) #神社 #歴史 #岡山 #癒し #温羅 #水巻神社 #総社市 #なぜ生きる

[ 癒しの神社 ] 古代の異邦人の英雄,温羅の胴体が眠る神社(水巻神社:岡山県総社市) #神社 #歴史 #岡山 #癒し #温羅 #水巻神社 #総社市 #なぜ生きる

▪️概要

総社市の静かな山麓に鎮座する水巻神社。その名は、この地に眠ると伝えられる古代の異邦の英雄、温羅の伝説と深く結びついています。遥か5世紀の頃、この吉備の国の内陸部まで海が広がっていた時代、その海を割って現れた巨大な船がありました。それは、朝鮮半島での戦いに敗れ、新たな地を求めて海を渡ってきた渡来人たちの船でした。

彼らは、故郷での戦乱を逃れ、この吉備の地に辿り着いた人々でした。異国の地で再出発を図る彼らは、故郷で培った高度な知識と技術を、この地の住民に惜しみなく伝えました。特に、当時まだ発展途上であった吉備の国に、製鉄をはじめとする最新の技術をもたらした功績は大きいと言えるでしょう。これにより、吉備の国の文化や産業は飛躍的な発展を遂げたと考えられています。

しかし、異国からの渡来者である彼らは、常に故郷からの追撃の影に怯えていたのかもしれません。その警戒心からか、彼らは現在の総社市の山頂に、故郷の様式を取り入れた朝鮮式の山城を築きました。この堅牢な城塞は、彼らの集団の拠点となり、異文化を持つ彼らがこの地で生き抜くための防壁となったのでしょう。

この渡来人の長、あるいは彼らの集団を率いていた人物こそが、温羅と呼ばれた存在です。吉備の国の人々にとって、温羅は先進的な技術をもたらす恩恵者であると同時に、異質な文化を持つ存在として、畏怖の念を抱かれることもあったかもしれません。

幸いにも、朝鮮半島からの追撃はなかったものの、彼らにとって更なる試練が訪れます。強大な力を誇る大和朝廷が、その勢力を吉備の国へと拡大しようと進攻を開始したのです。この戦いにおいて、温羅は朝廷軍の将である吉備津彦命によって討たれてしまいます。

温羅の最期を巡っては、悲劇的な物語が語り継がれています。討たれた温羅の首は、現在の吉備津彦神社の御釜殿の下に埋められたと伝えられています。その地では、今もなお釜の鳴る音を通して、温羅の霊が人々に何かを語りかけているとも言われています。

では、温羅の胴体は一体どうなってしまったのでしょうか。この水巻神社のある一帯では、古くから温羅の胴体は、水巻神社の裏の山に埋められているという伝承が語り継がれてきました。静かに佇む水巻神社の背後の山は、今もなお、異郷の地で志半ばに倒れた英雄の魂を鎮めているのかもしれません。

遠い異国からこの地にやってきて、新たな生活を築こうとした温羅たち。彼らは、どのような未来を夢見ていたのでしょうか。故郷を離れる悲しみ、異文化の中で生きる苦労、そして不条理な戦いの中で抱いたであろう怒りや無念の思いは、長い時を経て、ようやくこの地の土に静かに眠りについているのでしょうか。

水巻神社を訪れる人々は、その静寂の中で、遠い昔にこの地で生きた異邦の英雄の足跡を感じ、彼の抱いたであろう夢や苦悩に思いを馳せるのかもしれません。異文化との出会い、そして歴史の波に翻弄された人々の記憶は、この神社の静かな佇まいの中に、今も確かに息づいているのです。

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再生時間【04:27】

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